レベルB2 · 第67課

カマチョの婚礼の宴

裕福な農夫が、ラ・マンチャ始まって以来の盛大な婚礼の費用を出します。サンチョは食べ、ドン・キホーテは眺め、村じゅうの誰もが、花嫁が本当は別の人を想っていたことを知っています。

ギュスターヴ・ドレの版画:地面に倒れ、馬方に槍で打たれるドン・キホーテ。絹商人たちが馬上から眺めている。
Gustave Doré, 1863. Public domain.

このレッスンで学ぶこと

読む前に

これはB2の最初のレッスンです。まず気づくのは、文が長くなっていることでしょう。文法の面ではまだ新しいことは求められません。これまでと同じ三つの過去時制と同じ接続法を、より多くの語にわたって保てばよいのです。新しいのは小さな仕組みがひとつだけです。para que と a fin de que が何回出てくるか数え、それぞれの後にどんな動詞の形が来ているかをよく見てください。

やさしいスペイン語で読む物語

En un prado verde, junto al pueblo de Quiteria, habían levantado unas enramadas para que los novios comiesen a la sombra.

キテリアの村のそばの緑の草地に、新郎新婦が木陰で食事ができるよう、枝の東屋がいくつも建てられていました。

Camacho el rico había mandado traer músicos y danzantes de tres leguas a la redonda.

金持ちのカマチョは、周囲三レグアから楽師と踊り手を呼び寄せていました。

También había llamado a los mejores cocineros de la comarca, a fin de que nadie olvidase aquella boda en cincuenta años.

さらに、その婚礼を五十年は誰も忘れないようにと、地方一番の料理人たちも呼んでいました。

Don Quijote y Sancho llegaron de noche y durmieron al raso, para no molestar a nadie.

ドン・キホーテとサンチョは夜に着き、誰の迷惑にもならないよう野宿しました。

Se apartaron del camino para que no los tomasen por convidados de última hora.

土壇場で押しかけた客だと思われないよう、二人は道から離れました。

Al amanecer, antes que la luz, despertó a Sancho el olor del asado.

夜明けに、光よりも先に、焼き肉の匂いがサンチョを起こしました。

El escudero se levantó sin decir palabra y se acercó a las ollas.

従士は黙って起き上がり、鍋のほうへ近づきました。

En una de ellas cabía un carnero entero, y los gansos colgaban de los árboles como fruta.

鍋のひとつには羊が丸ごと一頭入り、木々からはガチョウが果物のようにぶら下がっていました。

Los quesos estaban puestos unos sobre otros, igual que los ladrillos de una pared.

チーズは、まるで壁のれんがのように積み重ねられていました。

En una caldera de aceite freían la masa y la sacaban con dos palas de madera.

油の大釜で生地を揚げ、二本の木のへらで取り出していました。

Un cocinero le dio un cucharón para que sacase del puchero lo que quisiera.

料理人の一人が、鍋から好きなものをすくえるようにと、サンチョにおたまを渡しました。

Sancho sacó tres gallinas y dos gansos, y se sentó a comer sin pedir permiso.

サンチョは雌鶏三羽とガチョウ二羽をすくい上げ、断りもなく座って食べ始めました。

Mientras comía, le explicaba a su amo que en este mundo no hay más que dos linajes.

食べながら、サンチョは主人に、この世には家柄が二つしかないのだと説明しました。

El de los que tienen y el de los que no tienen, dijo con la boca llena.

「持てる者の家柄と、持たざる者の家柄でさ」と、口いっぱいにほおばったまま言いました。

Don Quijote no comió nada, porque estaba mirando a los danzantes del prado.

ドン・キホーテは何も食べませんでした。草地の踊り手たちを眺めていたからです。

Representaban una batalla entre el Amor y el Interés, con dos castillos de madera.

踊り手たちは、二つの木の城を使って「愛」と「欲得」の戦いを演じていました。

Uno lo defendían unas doncellas armadas de versos y de buenas razones.

一方の城は、詩と立派な理屈で武装した乙女たちが守っていました。

El otro lo asaltaban a golpe de bolsas de dinero, y el dinero ganaba siempre.

もう一方の城は、金袋の一撃で攻め立てられ、勝つのはいつも金でした。

Allí le contaron la historia entera, que en el pueblo sabía cualquiera.

そこで二人は、村では誰もが知っている話を一部始終聞かされました。

Quiteria y Basilio se habían criado juntos, y todos daban por hecho que acabarían casados.

キテリアとバシリオは一緒に育ち、二人はいずれ結婚するものと誰もが思っていました。

Pero el padre de la novia la prometió a Camacho para que su hija no viviese pobre.

ところが花嫁の父親は、娘が貧乏暮らしをしないよう、彼女をカマチョに嫁がせる約束をしました。

Y adelantó la boda a fin de que no hubiera tiempo de arrepentirse.

そして、考え直す暇がないよう、婚礼の日取りを早めたのです。

Basilio era el mozo más diestro del lugar, y tiraba la barra, corría, esgrimía y cantaba.

バシリオは村一番の器用な若者で、棒投げも、駆けっこも、剣術も、歌もこなしました。

De nada le sirvió, porque ninguna de esas cosas se cuenta en la dote.

けれども何の役にも立ちませんでした。そのどれひとつとして持参金には数えられないからです。

Desde el compromiso andaba callado por los campos, hablando solo, y los vecinos temían por su juicio.

婚約以来、彼は黙って野をさまよい、ひとりごとを言うので、近所の人たちは彼の正気を案じていました。

Don Quijote dijo que un casamiento no debe deshacerse por dinero.

ドン・キホーテは、金のために結婚が壊されてはならないと言いました。

Añadió que él acompañaría a los novios a la iglesia para que se viese una cosa.

そして、あることを皆に示すために、自分が新郎新婦に付き添って教会へ行こうと付け加えました。

Que un caballero andante honra las bodas y defiende a quien no tiene con qué defenderse.

遍歴の騎士は婚礼を重んじ、身を守るすべを持たない者を守るのだということを。

Sancho, con la boca todavía llena, contestó que él era del bando de Camacho.

サンチョはまだ口をいっぱいにしたまま、自分はカマチョの側だと答えました。

Dijo que a las ollas de Camacho se les ve el fondo, y a las de Basilio no.

カマチョの鍋は底が見えるが、バシリオの鍋はそうではない、と言ったのです。

語彙

婚礼の台所

el asado
焼き肉
el cucharón
おたま
la caldera
大釜
la masa
生地
el ganso
ガチョウ
la gallina
雌鶏
el puchero
煮込み鍋
freír
揚げる

祝宴

la enramada
木の枝の東屋
el convidado
客、泊まり客
el danzante
踊り手
el músico
楽師
la comarca
地方、一帯
la legua
レグア(距離の単位)
el bando
側、派閥
a la redonda
周囲に

17世紀の結婚

la dote
持参金
el compromiso
婚約
el casamiento
結婚
criarse
育つ
arrepentirse
考え直す、後悔する
adelantar
早める
deshacerse
壊れる、取り消される
diestro
巧みな

Para que と a fin de que:目的を表す接続法

Levantaron enramadas para que los novios comiesen a la sombra.

Durmieron al raso para no molestar a nadie.

Adelantó la boda a fin de que no hubiera tiempo de arrepentirse.

英語では so という一語が二つの役割を担いますが、スペイン語はそれを分けます。分け方を決めるのは意味ではなく主語です。つまり、文の前半と後半を同じ人が行うかどうかです。

1. Same subject: para + infinitive

Durmieron al raso para no molestar a nadie. 野宿したのも、誰の迷惑にもならずにいたのも同じ二人です。主語が一つなので、二つ目の活用動詞は必要なく、使うこともできません。

2. Different subject: para que + subjunctive

Un cocinero le dio un cucharón para que sacase lo que quisiera. 渡すのは料理人、すくうのはサンチョです。主語が二つなので、スペイン語では完全な節が必要になり、その節の動詞は例外なく接続法になります。

主節の動詞para que の後の動詞例
現在または未来接続法現在Lo hace para que nadie lo olvide.
過去接続法過去Lo hizo para que nadie lo olvidase.

接続法過去には -ase / -ara と -iese / -iera という二組の語尾があり、意味はまったく同じです。Olvidase と olvidara は入れ替えて使えます。セルバンテスは -se の形を好むので、このレッスンにはその形がたくさん出てきます。現代のスペインではやや -ra のほうが優勢です。どちらを使ってもかまいませんが、両方読めるようにしておきましょう。

3. 改まった双子

A fin de que は、スーツを着た para que です。文法も同じ、接続法をとるのも同じで、ただ文体が改まっています。書き言葉や契約書、そして金持ちが婚礼を仕立てる様子を描く語り手にふさわしい表現です。不定詞と組むのは a fin de です。ほかに con el fin de もあり、不機嫌なときには no sea que もあります。これは何かが起こらないように、という意味で、やはり接続法をとります。

ここで落とし穴をひとつ挙げておきます。Para que が答えるのは「何のために」であって、「なぜ」ではありません。目的ではなく原因を述べたいなら porque が必要で、porque は直説法をとります。No comió porque estaba mirando a los danzantes。

裕福な農夫の婚礼にかかった費用

カマチョは貴族ではありません。labrador rico、つまり金を持った農夫であり、セルバンテスの時代のスペインでは、それは新しく、少々いかがわしい階層でした。貴族の身分は金で直接買えませんでしたが、婚礼なら買えました。村の婚礼は、一家が今どれほどの財力を持つかを地方じゅうに見せつける場だったのです。この章の品々の目録、つまり一つの鍋に丸ごとの羊、木に吊るされたガチョウ、石積みのように重ねられたチーズは、滑稽な誇張ではありません。当時の家計簿には、この規模の宴が二、三日続き、催した一家を破産させたことが記録されています。

持参金こそが、この物語の下で動いている仕組みです。1615年の結婚は、財産をめぐる二つの家の間の契約であり、それを書くのは花嫁の父親でした。キテリアの意向は問われません。バシリオは州のどの男よりも遠くへ棒を投げられますが、そんなことは書面のどこにも載りません。セルバンテスが、彼の才能がもはや意味を持たなくなるその瞬間にそれを列挙してみせるのは、まさにその点を突くためです。

ドン・キホーテが眺める「愛」対「欲得」の踊りは実在した形式で、村の祝宴で演じられた entremés、つまり幕間劇です。婚礼が黙ってしていることを、声に出して言ってしまうのです。セルバンテスは寓意と、それが描く現実とを同じ草地に並べ、踊りの中では金を勝たせ、そして次の章を費やして、物語の中では金が負けるように仕組みます。

セルバンテスの原文で · «Dos linajes solos hay en el mundo…»

Dos linajes solos hay en el mundo, como decía una agüela mía, que son el tener y el no tener

わしの祖母がよく言っていたように、世の中には家柄が二つしかない。持てる者と持たざる者だ

サンチョがこれを言うのは後編第20章、おたまを手にカマチョの鍋の前に立っているときで、この配置こそが笑いのすべてです。これはことわざで、サンチョはたいていのことと同じく、本の中のあらゆる場面に当てはまる格言を持つ祖母の言葉としています。agüela に注目してください。これは abuela の古い綴りで、この版ではそのまま残されています。この一文が単なる民間の知恵以上のものになっているのは、筋のことなど考えていない唯一の人物が、この章の筋そのものを口に出しているからです。キテリアがカマチョと結婚するのは、カマチョは持っていてバシリオは持っていないからであり、読者はたった今、「持つ」とはどういうことかの目録を二ページにわたって読んだところです。サンチョは説教をしているのではありません。食べているのです。そして哲学と胃袋が、たまたま意見を同じくしているのです。

この文法項目を単独のページで

短い答え、ほかのレッスンでの同じ項目、そして避けたい間違い。

このスペイン語をセルバンテスの原文で

学んだばかりの項目が原文で使われている一節を、手を加えずに、形をひとつずつ解説しながら読みます。