C1 · 後編第10章
¡Jo, que te estrego! 農家の娘の言い返し
サンチョは主人に、ロバに乗った農家の娘がドゥルシネーアだと告げ、道にひざまずいて騎士道物語の言葉で彼女に呼びかけます。彼女は村の言葉で答えます。二つの文体がこれほど近くに並ぶ一節はめったになく、娘の返事は、1615年にはすでに滑稽だった田舎言葉の形に満ちています。
セルバンテスが書いたままの抜粋
ミゲル・デ・セルバンテス、後編第10章。原文のまま。
Apártense nora en tal del camino, y déjenmos pasar, que vamos de priesa. A lo que respondió Sancho: — ¡Oh princesa y señora universal del Toboso! ¿Cómo vuestro magnánimo corazón no se enternece viendo arrodillado ante vuestra sublimada presencia a la coluna y sustento de la andante caballería? Oyendo lo cual, otra de las dos dijo: — Mas, ¡jo, que te estrego, burra de mi suegro! ¡Mirad con qué se vienen los señoritos ahora a hacer burla de las aldeanas, como si aquí no supiésemos echar pullas como ellos! Vayan su camino, e déjenmos hacer el nueso, y serles ha sano.
「道をどきなよ、こんちくしょう。通しておくれ、急いでるんだから」。これにサンチョは答えた。「おお、トボソの王女にしてあまねく貴き姫君よ! 遍歴の騎士道の柱にして支えたるお方が、あなたさまの崇高なるご尊前にひざまずいているのをご覧になって、そのお心の広い胸がなぜやわらがぬのでございますか」。これを聞いて、二人のうちのもう一人が言った。「どう、どう、ちょっとさすってやるよ、舅さんのロバや! 見なよ、若旦那たちが今ごろになって村の娘をからかいに来たよ。まるであたしらが、あの人たちと同じくらい悪口の言い合いができないとでも思ってるみたいにさ! そっちはそっちの道を行きな、あたしらはあたしらの道を行くから。そのほうが身のためだよ」
同じ内容を、今日書かれるスペイン語で
二つを並べて読んでみましょう。両者の間で変わったことが、このレベルの学習内容です。
Apártense del camino, maldita sea, y déjennos pasar, que tenemos prisa. A lo que respondió Sancho: ¡Oh princesa y señora universal del Toboso! ¿Cómo no se enternece vuestro magnánimo corazón viendo arrodillado ante vuestra sublime presencia a la columna y el sostén de la caballería andante? Al oír esto, otra de las dos dijo: ¡So, que te cepillo, burra de mi suegro! ¡Mirad con qué vienen ahora los señoritos a burlarse de las aldeanas, como si aquí no supiéramos lanzar pullas como ellos! Sigan su camino, déjennos seguir el nuestro, y les irá mejor.
形ごとの変化
| 原文 | 現在 | なぜ大事か |
|---|---|---|
| nora en tal | maldita sea | en hora mala の悪い言葉を差し替えた、やわらげたののしり言葉です。 |
| déjenmos | déjennos | déjennos の田舎言葉で、n が m に変わっています。 |
| de priesa | de prisa | 古い母音です。Priesa はこの本の至るところに出てきます。 |
| sublimada | sublime | 普通の形容詞で足りるところに学者ぶった分詞を使っています。サンチョは背伸びしているのです。 |
| coluna | columna | 子音の連続を、人々が発音していたとおりに簡略化しています。 |
| ¡jo! | ¡so! | ロバを止めるときの言葉です。彼女が話しかけているのはサンチョではなく、自分の乗っているロバです。 |
| que te estrego | que te cepillo | Estregar は動物の体をさすってやることです。獣を落ち着かせる言い方です。 |
| echar pullas | lanzar pullas | Pullas は皮肉や悪口のことです。言葉は生きていて、その習慣も生きています。 |
| e déjenmos | y déjennos | y の代わりの E で、古い接続詞が村の言葉に残っています。 |
| el nueso | el nuestro | nuestro の田舎言葉です。文学では今でも、話し手が農民であることを示す目印になります。 |
| serles ha sano | les irá mejor | 未来形が二つに分かれ、不定詞に ha がつき、そのあいだに代名詞が入っています。スペイン語の未来形の起源が田舎で化石のように残ったものです。 |
構文
サンチョの文は修辞疑問で、目的語がいちばん最後に回されています。viendo arrodillado ante vuestra sublimada presencia a la coluna。こうして、騎士道物語と同じように、仰々しい称号が最後に来るのです。娘の返事は命令と感嘆だけでできていて、従属節はまったくありません。そして最も興味深い形が最後に来ます。serles ha sano、まだばらばらの未来形で、不定詞、代名詞、ha です。スペイン語の未来形はもともとこうして作られたのであり、ここでは農家の娘がそれを脅し文句として使っています。
スペイン語の読者に聞こえるもの
この場面はサンチョの仕返しです。ドン・キホーテは存在しないドゥルシネーアの宮殿を探しに彼を送り出しました。そこでサンチョは最初に通りかかった農家の娘を選び、それが王女だと誓います。主人が何を見ても魔法使いのせいにするとわかっているからです。そしてサンチョ自身が宮廷風の口上を演じ、しかもうまくやってのけます。このときばかりは役割が逆転しています。従士が騎士道の言葉を話し、貴婦人がサンチョのように答えるのです。ドン・キホーテは、ドゥルシネーアが魔法で農家の娘に変えられたのだと結論づけ、その考えが後編全体を動かしていきます。
この講座のどこでこの準備ができるか
- Lo bueno、lo peor、lo que第62課道で出会った三人の農家の娘
